smc PENTAX DA50-200mm F4-5.6 EDレポ
投稿者: 無謀庵 / 2016年11月5日 - 12:58 / カテゴリー: カメラ
前々から、うちのKマウントシステムに望遠レンズがすっぽ抜けていて、しかし使用頻度からいって別に無理に買わなくていいかなあ、と思いながら時間が過ぎていた。
昔はF70-200mm F4-5.6とか古いフィルム時代の望遠ズームをそのまま使ったりしていた。
しかし、帰阪して久しぶりに梅田の中古カメラ屋を散策して、立ち寄ったカメラのナニワに、DA50-200mm F4-5.6EDの出物あり。
5800円で、DA-Lじゃない(ただしWRでもない)やつが、フードもついてるのは安かった。
外装や動作には特に問題はないようだったけど、しかし買ってからよく見ると、おそらく前から4枚目の玉あたりに、表面に何やらコーティングが溶けたかのようなムラが見える。貼り合わせのある群なので、バルサム切れとかかもしれない。
レンズについて
サイズ・重量
望遠ズームレンズは、がんばらないものならだいぶ安く作れるようで、PENTAX純正以外にもシグマ・タムロンの安ズームがある。
安くあげるなら、シグマの70-300mmF4-5.6があり、長くて明るさも変わらない。
そこでDA50-200mmのアドバンテージというと、小さくて軽い。PENTAX純正の55-300mmも含め、他の安望遠はみな450~500gくらいあるが、DA50-200mmは285g。
直径も小さめの69mm、長さは他が120mmくらいのところ、これは79.5mm。
PENTAXの小柄なボディと合わせ、コンパクトなシステムにするには何より強い。
最短撮影距離
私が撮影する上で望遠ズームなどを持ち出すシーンというのは、水族館で魚を撮る時が多い。なので、ある程度最短撮影距離が短くないと困る。
DA50-200mmは1.1m。最新のDA55-300mm F4.5-6.3 ED PLM WR REは最短が0.95mまで短くなっているけれど、DA55-300mm F4-5.8 ED WRの方は1.4m。
水族館だとこの30cm差が結構影響しちゃったりしがちで。
テレ端での最大撮影倍率でいえば、DA50-200mmより最短の長いDA55-300mmF4-5.8のほうが少し大きいのだけど、ズームレンズの最短撮影距離はズーム全域で同じものだから、別の話。使用感も異なってくる。
まあ、新しいDA55-300mmF4.5-6.3が0.95mともっと寄れる。随分暗いF値以外は、寄れるしAF速いし画質向上してるとモノは良いみたいだけど、しかし値段がまだ6万円近い。6万円だと他のレンズ買うよなあっていう。
ピントリング
実に180度も回転角がある。超音波モーターでもないので、かなり大きく動く。迷うと2秒くらいかかるので、結構遅くもある。
まあその分、クイックシフトフォーカスでの微調整はやりやすいかも。ちょっとトルク感……というか摩擦感があるけど、中古だからヤレてる部分なのか、新品からそうなのかは不明。
AF作動音は結構に盛大。大きな玉が3枚入った前群を繰り出してAFするので、わりと負荷は大きめなのかも。K-70だとAFモーターがパワフルだから、辛気臭いと思うようなことはないけれど。
フィルタ枠は回転しないが、全長は伸びる。無限遠が最短。
また、ちょくちょくAFが迷うこともある。無限遠や最短近くで撮影後、次に少しだけ違う距離のものに合わせに行くと、一度端から端まで往復することがよくある。望遠ズームって、わりと無限遠近くとか最短近くで使いがちだから、あまり迷われると鬱陶しいのだけど……
実写
この記事では、写真はすべてフルサイズでアップしたので、クリックすると撮って出しを見られる。
ホントはレンズ補正を切って試写するべきだったけど、忘れて入れたままにしちゃったのが大部分。切ってるのは切ったと明記したが、書いていなければレンズ補正全部有効。
まずは最短撮影距離近くで。
やたらと寄れて当たり前のコンパクトデジカメとは違うので、やっぱり寄りきれないような気はしてしまうのだけども。
APS-Cで0.24倍とはいえ、200mmの長さではさすがに被写界深度が浅く、かなりピントはシビア。AFが合う合わない以前に、体がブレてピントが外れる。難しいなあ……
200mmを1.1m程度の距離で使うとなると、被写界深度の浅さはF8やそこらじゃ解決しない感じ。F22まで絞るとさすがにかなりまとまるが。
ボケが綺麗とはいえない感じかな……というか、だいぶ良くないな。そこまで贅沢言えるクラスの商品じゃないけれど。
このレンズのはっきりした弱点はというと、この周辺減光の多さ。ワイド端は端っこにくっきり出て、テレ端はかなり広い範囲に出る。
まあ、純正レンズの強みで、これはデジタル補正でフォローできてしまうのだけども、補正なしで使うなら、私の目でわからなくなるのはF9くらいかな……
上と同じようなのを、F9で。ほぼ周辺減光は消えている。解像感もよくなっている。
でもテレ端に関しては、開放がやや甘いといっても全体的に均質に軽く甘い感じで、違和感が出るような悪さではない感じ。絞ったらブレそうなら開放で使える。
問題は広角端で、四隅にだいぶ流れが見える。少し絞ってもあまり解消せず、撮影条件によらず出ちゃってる感じ。像面湾曲かなんかかな。私の個体だと左上の流れが大きいっぽいので、偏心してるっぽくもある。
しかしながら、ある程度絞っての中央近くだと結構な解像力を見せる。
細い縦線のある建物を撮ったらモアレのオンパレードみたいなことになったけれど、十分解像してるからこそモアレが出る、という見方もできるかと。
DA50-200mm F4-5.6EDの発売は2006年中頃だから、当時のボディはまだ600万画素の*istDS2が最上位。1020万画素のK10D発売直前ではあるし、当時DAレンズ唯一の望遠ズームだったから、K10Dに耐える解像度は見込んで開発してると思うけれど、その時代のものが2400万画素のK-70でコレだけ働けば上等かと思う。
これはボディ側の話だろうけど、真ん中の窓の上下、影のところに出てるアーティファクトがちょっと気になる。被写体の縞模様と画素ピッチが合ってしまって、かつ光量少ない影だからノイズが出て、さらにシャドー補正とかのデジタル処理もぶつかって……とか、限定的な条件のものとは思うのだけど。
サンプルがないけれど、フードいらないくらい逆光に強いみたい。太陽に向かって、いかにも妨害されそうなカットをフード外して撮ってみたけど、フード付きと差が出なかった。特定条件で出る可能性はあるけれども、おそらく頼りになりそう。
フードのPH-RBB52は、逆付けするとズームレンズ付け根近くまで覆うので、操作不能に陥るという難点がある。といって普通に付けたままだと、深すぎてレンズカバーが付け外ししづらい。フードはなくてもいいレンズかもしれないなあ。
画質まとめ
- 広角の四隅流れが良くない
- 望遠の方が全体的に均質に写る感じ
- 周辺減光は大きく、解決はF9まで絞るかデジタル補正
- 広角の周辺以外はまずまず解像感よし、テレ端無限遠でもなかなか
- 逆光には強そう
といったところだろうか。
あ、歪曲収差をチェックし忘れたけど、私もうこれはデジタル補正でいいや。
PENTAX機は、撮影プレビューでまず補正前の画像が表示され、すぐ補正後に入れ替わるのだけど、それで見る限り、DA17-70mmやDA21mmあたりと同じか小さめくらいの補正量でしかないように見えた。
サイズや価格とトレードオフになる部分は当然あるつもりだったけど、テレ側に関しては期待よりだいぶ良い感じだった。
広角側はまあ、四隅が気になるというのが問題だけれども、このレンズ付けて広角多用する状況になってるなら選択間違えてると思うべきか。
総まとめ
根本的には廉価ズームなので、何をやっても万全というようなモノではないけれども、小さく軽いから「荷物増やす気ないけど望遠ほしいときもあるかな、どうかな」みたいなよくある気分のときに便利。
K-01に、新しいほうのロークラス標準ズームDA 18-50mm F4-5.6DC WR REと、DA50-200mmF4-5.6の2本でダブルズーム、とすれば軽快かつ幅広くカバーできるかな。
あるいは、DA21mmF3.2Limited・DA40mmF2.8XSの2本と、望遠いるときのためにDA50-200mm、というのもいいか。
しかし、うちの標準ズームDA17-70mm F4AL[IF]SDMとの取り合わせだと、大きさ的に別クラスになっちゃって、あまりしっくりこない。まあDA17-70mmは単体で完結したようなレンズではあるんだけど。
古いレンズどうしでもあり、DA16-45mmF4ED ALと合わせるのも似合うかも。